無念の別れ・・・シーズーちゃん
依頼により保護していたシーズーちゃんと、本日午後、突然お別れする事になった。服従訓練のトレーニングの一貫として毎日行っていた、耳の中の毛を抜く時や、歯ブラシでの歯磨きの度に何度でも鳴き騒いでは、暴れ、何度でも手に噛み付くシーズーちゃん。
今朝のこのご飯が、ここでの最後の食事になるだなんて全く想像もしていなかった。体中にまだアレルギー性の湿疹が残っていて、病院での診察もまだこれから・・・という時だった。せめて診察の間位は大人しく口内を見せる事が出来る様になるまでトレーニングを行ってから・・・。そう思っていた。
飼い主から飼育放棄されたイヌや、山の中などで遺棄・放置されたイヌ達を保護した場合、かなり緊急性のある疾病が見当たらない場合には、動物病院を訪れる際に、先生にも私自身にもある程度は手に負える子にしておく必要がある。診察を手際良く行う為でもあり、病院に行くまでの期間に私自身も『代理飼い主』としてのイヌの所見を把握する必要がある為、保護してすぐに病院へ直行するよりも良い手段だと思われるからである。
ご自身が愛犬の為に初診で初めて動物病院を訪れた日の事を、皆さんは覚えていらっしゃるだろうか?何処の病院の先生も、眼球を診たり、歯ぐきや歯の状態を診たり、身体を触って骨格を確認したり、触って痛がる箇所が無いか否かを確認されるのである。四肢の肉球に至るまで触診される事もある。むろん、飼い主がしっかり押さえる事も出来ず、唸って牙を見せるイヌには、どんな獣医さんであってもしっかり触診をする事は出来ない。緊急のオペが必要である場合には(傷口がぱっくり開き血液が滴る状態とか)、病院スタッフ総出で押さえて麻酔をし、処置する場合もある。
何処の動物病院の獣医さんなのかは不明だが、横浜市辺りにある、とある動物病院に腕が良いと獣医師の間でも噂をされる様な素晴らしい獣医さんがいるそうなのだが、その先生『ブル』系統のイヌだけは診察を断るというお話しも付随して獣医師同士の裏話だそうである。その先生はブルテリアだか何かの犬種に診察中かなり酷く噛み付かれた事があるのだとか。それ以来、ブル系のワンコは遠巻きにお断りしているらしいとの事。
何犬であろうが、診察の目的すら果たせない状態の躾け、又は飼い主の補ていでは、どんなに素晴らしいと言われる獣医師であろうとも、困難極まりない事なのである。また「何だか様子がおかしいんですが、何だかも判らないけれど診て下さい。」という風な飼い主さんにも困惑するのである。これではヒントも何もないクイズの答えを問われるのと同じだからだ。
ずっと自身で飼育してきたイヌであれば、いつもと違う挙動を発見する事は、日頃からイヌを観察していれば比較的容易い。しかし今日いきなり出逢ったイヌの健康状態を即座に判断するには難しい所が多々ある。イヌによって痛がり方も異なるし、飼育されてきた環境状態によってはブリタニー・スパニエルのアカネさんの様に痛がる事を訴える事すら諦めてしまっているイヌも居る。例え痛みがあっても、痛みを訴えないのだ。ましてや酷く汚れていたり、ノミ・ダニが大量に寄生していたり、極度の貧血を起していれば、すぐに病院へ行くよりもある程度家で落ち着かせ、処置した上で病院を訪れた方がイヌにとっても良いだろう。
そんな事をシーズーちゃんに検討していた矢先の事だった。今日もお風呂でシャンプー&リンスをし、ドライヤーの次にトリミングの練習。一週間経ってもまだ一週間前と何ら変わらぬままの暴れっぷりのままに、耳の中の毛を抜き、綿棒で掃除を行った。今日の私の手に残された歯型は、左手の中指にブッスリと2つ程・・・。まだ右の掌にも先日から噛まれた牙の跡が生々しく無数に残っているままだ。トリミング(グルーミング)の最後にはブラッシングをして身体中を撫で、両耳の付け根をラッピングしリボンを付けて終了。
抱き上げて撫でた後にはすぐにゲージに入れる。シーズーちゃんはすぐに我慢していたオシッコをする。この子のトイレ・マナーはほとんど完璧で、たまに場所を外してしまうがほとんどペットシーツの中でしてくれる。グルーミングの後は体中を揉まれ、利尿作用が働き、オシッコは数回するシーズーちゃん。その後は疲れて眠りに落ちていた。
まだまだグルーミングに慣らさないと・・・と思っていた矢先に電話が鳴る。保護を依頼してきた『田原共同直売所』の方だった。
「元の飼い主が、6万円で売れたからって連絡してきました。もうすぐ新しい飼い主が引き取りにここ(直売所)に来るそうなので、お宅まで受け取りに行きます。折角、骨を折って貰ったのに・・・・済みません。私の方でも断りようがもう無くて。お金ももう元の飼い主が既に受け取っているそうなので、イヌを新しい飼い主に渡さない訳には行かないから・・・・・・・。」
直売所の方にも、私にも、断りようの無い状態という事だ。愕然としつつも、思わずノドまで「6万円、私が払います!!!」と出掛かったが、そういった無責任な方(元の飼い主)に、新しいイヌを買う為の資金を私が出す・・・という図式にも納得は行かない。出来る事ならその方に説教をしたい所だが、困った事に、元の飼い主さんというのは、暴力団に関係する方だとの情報もある。ヘタな手を打ってしまうとよからぬ事態にならないとも言い切れない。直売所の方にも迷惑を掛ける事になる。
直売所の方が忙しい中、店を空けて軽トラックですっ飛んで来る。新しい飼い主が用意したという汚れたケージにシーズーちゃんを入れる。気に入っていたウシのヒヅメを一緒に入れると、騒ぎ始め、反抗の粗相(オシッコ)をする。直売所の方に待ってもらって、庫内を掃除し、血統証を手渡した。
無念極まりない結末・・・。この子には何もしてやれなかったも同然だ。この子もアンブロシア・ドッグ・ホームにワンウェイ・チケット片手にやって来たのでは無かったのか?お風呂に入れたり、カットしたり、そんな事しかまだしていない。噛み付き癖も矯正出来ていない。シーズーに多い、遺伝性の臍(へそ)ヘルニアも、アレルギーの皮膚もまだ何も治してない。まだ私が自信を持って送り出せる状態には至ってなんかいなかった。
無論、そんな状態にまで至る・・・というのは極論だが「普通に飼育が出来て、アルファ・シンドロームでは無い状態」まで至るという事を意味している。年齢の若いこのシーズーちゃんの場合には、頭の良い子でもある為、ここでそういった事をある程度学んでいても、里親さんの元ではまた「やってみる(挑戦してみる)!」という事は試みるハズである。これはプライドの高い性質の子ほど、ありがちな行動パターンなのである。そういうタイプの子の場合には里親さんも引き続きそういった躾けを続けて行っていかなくてはならないのである。典型的な例を挙げれば、ミニチュア・シュナウザーのルナちんも正にこのタイプ・・・といった所。
ルナちんのそういう行動についての詳細は、過去のダイアリーでかいつまんで読んで確認して頂きたい。ルナちんも幾つになっても気位の高さがものを言う時がある。だが、しっかり社会性を身に付けさせ、躾けを入れたお陰で何処にでも連れて行けるイヌにもなったし、誰に触られてもかなり我慢していられる様になったのだった。
基本が身に付いていれば、後を引き継ぐのは楽なのである。根本的に私の保護活動は精神状態及び健康状態を安定させ、その躾けの「基本」を身に付けさせる事を重要視している。私が一頭のイヌを保護している期間に期限は無い。里親さんとの縁が発生するまでの間が、必然と保護期間になる。里親さんが見つからなければ、期限は見えて来ない。保護活動はそういうものだ。いつ終止符が打たれるかなんて、神のみぞ知るといった所。
時折、保護したイヌと接していて、人間の身勝手さを感じる事がある。無責任さを目の当たりにする事もある。
いったい何時になったら、人間は身勝手な事をしなくなるのだろうか?
いったい何時になったら無責任にイヌを捨てなくなるのだろうか?
私の行っている活動はこれで良いのだろうか?
いったい何時になったら終わりが来るのだろうか?
いつ???
答えなど見つかる訳も無いのに自問自答する時がある。特に保護活動で辛い時の合間、ふとした時にだ。普段は目の前のイヌの管理や躾けに追われていて、そんな事を考える余裕は無い。自分の時間を割いてまで世話をする。一人と複数頭ともなると、必然的にそうなるものだ。しかしそこまでしてもイヌ達から学ぶものがあるので、私はこういう日々を送っている。
色々な思考が脳裏を巡る。そして飼い主自身に売り飛ばされたシーズーちゃんの事を思い出す。しばらくはこうして混沌としているのだろうか。飼い主自身に売り飛ばされるイヌ。他にもこうして飼い主自身に売り飛ばされたイヌは居る。私が助ける事の出来なかった、黄色いラブラドール・レトリーバーの男の子。今年2005年4月3日のブログにも記述した「オークション。。。」という話だ。この黄色のラブ君にせよ、今回のシーズーちゃんにせよ、いずれもペットショップで購入しているケースである。何故ペットショップで購入したこの二組の飼い主は『売り飛ばす=転売する』ほどに、自分の目で見て買ったイヌを売り飛ばしてしまったのだろうか?皆さんの考えを是非コメントにお寄せ頂きたい。。。
なお、今回シーズーちゃんの里親を希望された多数の皆さま、ご連絡を頂きまして誠にありがとうございました。今回はこうした結果となってしまいましたが、この様に里親を求めるイヌ達はウエブ上だけでなく、周囲に目をやると多々居るはずです。是非とも、また機会があれば、そういった子達を検討してあげて下さい。どうぞ宜しくお願い致します。
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コメント
どうして??自分の目で見て、飼い始めた仔を転売できてしまうのか(>_<)…全然理解できませんし、したくもありません。
我が家の仔もショップで巡り会いました。即決は出来ませんでした…それは身近に居ない犬種だったからです。家族会議を半月、それでショップに居たら「縁」があるのだから迎える。これが結論。私の中では「買う=飼い続ける」だと思っています。色々な事情でどうしても手放さなくてはいけなくなったら…と考えると安易に命ある者は迎えられませんね?! ご近所の独り暮らしの方は「私が逝ったらこの仔も安楽死を」と遺して逝かれました。色々な事を言う人は居ますが、その方のその仔に対しての愛情と責任を私は感じました。 何か支離滅裂になっちゃいました。スミマセン!!
No6シーズ―ちゃん、新しい飼い主さんとお互い始めは手探りでも、全てを理解し合い、幸せになって欲しいです(強願!!)…
AMB MAMさんお疲れ様でした↓m(__)m
投稿: ライママ | 2005年6月22日 (水) 12:49
ライママさん、こんにちわ~。
自分でどんなイヌを買う(飼う)のかを考え、決断をして迎え入れたはずですのに、どうして志半ばで転売をしてしまうのでしょう・・・。
あれこれ考えてみると、思い当たる事柄と言えば、ブランド物などのリサイクルショップでの買い取りという図式を思い浮かべました。確かにこれはリサイクルの一貫として素晴らしい事だと私も思います。しかしイヌやネコは純血であろうがなかろうが、命の重みに変わりはありませんし、豊かな感情も持っていますから物品をリサイクルする感覚で片を付けるなんて行為は愚行としか思えませんよね。。。
例えば純血で同じ犬種であれども、性格は様々ですから、思っていたのと違う・・・なんて事はごく当たり前の事。それらを含めて全てがその子の個性なんですものね。
お疲れ様・・・は、まだまだ来ない様ですね(苦笑)。今はまた新入りちゃんと新たなスタートです♪
投稿: AMB MAM | 2005年6月24日 (金) 16:16