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2005年8月27日 (土)

トライアル ~門出~ エンデュミオン編

0503endy01 保護イヌNo,1=エンデュミオン

(オーストラリアン・シェパード)は、

本日トライアルの為に

里親さん家族の元へと旅立った。

昨夜は入念にお風呂に入れ、丁寧にドライヤー、ブラッシングを施し、四肢の足の裏にバリカンを入れ、まばらな足先の飾り毛を軽く整えた。爪はさほど伸びていないが、里親さん宅でお手入れや治療などで時間を取られる事よりも、「普通に過ごせる時間」をたっぷり取って頂きたい為に、しばらくそういった事に時間を割かなくても良い程度の事を施しておくのが、この私設ドッグ・ホームの中での決まり事なのかもしれない。しかしまだ始めたばかりのこのドッグ・ホームからは送り出した頭数は少なく、トライアルに出発したイヌは今回は2頭目である。

このシェルターでは、「誰でもいいから貰ってくれ!!!」と願って里親を募集しているイヌやネコは居ない。「誰でもいいから貰ってくれ!!!」と公言していれば、もっと里子に出した『頭数』という意味では実績を積み重ねたかもしれないが、私はその頭数という実績がそもそも成功した事だとは捕らえていないのである。そう、『頭数』という実績が私の目標では無いのである。私が目標にしている実績はこういう事である。保護したイヌ達を確実に心身ともに健全で健康な状態に導いた時、その時こそが成功したと実感できるのであり、かついかに「一般家庭の家庭犬」として普通に室内飼育が出来る状態まで導き、躾を施すか?が重要だと考えているからである。それを私自身のこのシェルターでの実績だと考えているからだ。だから、里親候補者さんが決まり、そしてトライアルに出発した事が成功では無く、その日が終わりだという意識でも捕らえていないからである。

保護活動を一般的な視点で見た場合、それらの良し悪しを判断する為の結果論であれば里子に出した『頭数』で判断される事なのかもしれない。確かに「保護」という観点から見た場合には、「保護した数」と「里子に出した数」は並行してセットで見られるもので、かつ重要な判断材料かもしれないのだが、「保護されたイヌ達」の視点で考えると、私はそれで根源を改め、保護イヌ達という存在の根本的な解決になるとは思えないからである。

エンデュミオンの保護当時の事を思えば、そういう心境になって当然だと自負している。今のドッグ・シェルターは、エンデュミオンを保護し、彼から学んだ事の数々が基盤となっている。私は当初、彼を里子に出すという発想になど全くならなかった心理状況であった。それは彼があまりにも「美しいイヌ」だからでは無く、四六時中、彼の心意的外傷を目の当たりにしていたからこそ、とてもじゃあないが「里子に出せる」という発想は湧かなかったという事が正直な感想だった。

精神的にも身体的にも虐待を受けていたエンデュミオン。彼を捨てたブリーダーに譲渡をした、元のブリーダーさんに私は接触を試みた事がある。その元のブリーダーさんはかなりきちんとしたブリーダーさんである。しかしブリーダーという仲間同士、仕事柄関わりを持たない訳にも行かず、また他にも利害関係がある事から、彼らは関わりを断絶する事はできないまま今に至っているであろうと、私は想像している。

元のブリーダーさんは、エンデュミオンの事だけでなく、彼とは無関係のジャックの事にも快くご相談に乗って頂いた事があった。しかし、その方から私に託された「返品されたリズ=故リッちゃん」は、先月亡くしてしまったのだ。見ていたはずの中で起こった悲劇。どの様な視点から考えても、私に「落ち度」があったのだと、私は反省するべき事なのだと思う事にした事故であった。

正直、その元のブリーダーさんに顔向けが出来ないという事。しかしこれは私自らの責任である。どういう状況であれ、リッちゃんを死なせてしまった事は事実無根。私の手も目も足りていないのだろう。

そんな考えから、ある意味更にブリーダーさんに顔向け出来ない事だと知りつつ、悩み続けていたエンデュミオンの里親募集を開始したのだった。エンデュミオンは4年前、過去の経緯が発覚するに連れて、益々「うちの子になりなさい!」と私は思っていたのである。そして日が経つにつれて「ウチの一員」なのだと思っていたのである。しかしその発想がこのドッグ・ホームの趣旨を作り上げたのでもあった。

先住犬のアンブロシアさん(ラブラドール・レトリーバー♀現在10歳)、ルナちん(ミニチュア・シュナウザー♀現在7歳半)、アルキメデス(ミニチュア・シュナウザー♂現在4歳)の3頭に、山の中で保護したエンデュミオンが加わり、4頭の多頭飼育を自他共に認める状況で行ってきた。

あれから4年。山の中で出会い、保護したあの日から、ちょうど4年の歳月が流れてきた。ぴったり、ちょうど4年経った今日、エンデュミオンはトライアルに出発したのである。元からあるホームページで始まった彼の事を書き残す記事は多数存在する。それらをタイムリーに見ていた方々は、保護から今日までの間、声を出さずとも心の中で応援してくれた方々も多数おられた事であろう。当時からの記事を見ておられた方の中には、何故今更エンデュミオンを里子に出すのか?と疑問を抱かれる方もおられるかもしれない。また、このブログからご覧になっていた方の中にも、疑問を抱かれる方がおられるのかもしれない。

先ず知って頂きたいのは、エンデュミオンの里親募集はずっと悩んで来た事であるという事。何故なら、このシェルターとしてのアンブロシア・ドッグ・ホームを始めようと思ったきっかけが、エンデュミオンの保護だったからである。彼の存在無くしては、このドッグ・ホームが生まれる事も無かったのである。

その彼を保護した事がきっかけとなり、彼の存在を基準とし、様々な事を私自身学んできた。学び、知る事によって必然と保護すべきイヌ達が周囲に数多く居る事に目が向く事にもなった。それらに関わる機会が増え、私は益々保護する事が増えて来ているという事実。保護している頭数が増える事によって、私一人の手では無理が出て来る時があるという事実。しかし目の前に新たな対象が現れた場合に、保護する事は辞められず、とっさに身体が動き、彼らを保護しているという事実。。

しかしその私の気持ちとは別に、エンデュミオン自身の気持ちはどうなのだろうか?4年前に私に保護され、いつしか心に平穏を持ち、安心して普通に暮らしてきていたエンデュミオンが、今から里子に出た場合にショックを受けないのか?という心配。。。

元のブリーダーさんに「ずっと私が飼います!」と宣言をしてしまったからという私的な理由よりも、何よりも、今後も保護活動を続ける・・・そして、辞められないという事を念頭に置いた場合には、こういう発想に展開するという事が、エンデュミオンをトライアルに見送ったキッカケだったのだ。

先ず、今後も保護活動を続けるとなると、それは事の発端がエンデュミオンを保護した事に始まったという事。また、新たな保護したイヌによっては私自身が『極道なママ』にならざるを得ない状況が発生するという事。その『極道なママ』に私が豹変する度に、トラウマは克服したエンデュミオンですら、元々繊細な性質であるが為にストレスを感じているという事実(軟便になる)。その結果、このままここに彼が居て健康状態に問題が発生しないのか???という疑問が浮かんだのであった。

エンデュミオン自身は、既にトラウマを克服し、完治している。何処に出しても恥ずかしく無い程、立派に振舞えるイヌになったのだ。むしろ保護イヌ第一号であった彼が、トライアルに出発した方が良いのではないのか?という変化が私の意識の中に起こったのであった。

普通に「飼い主」として私自らが飼ったイヌは3頭。今後も保護活動をしていれば、頭数は必然と複数頭の多頭飼育が続いて行く未来。元々飼っていたイヌ達を手放すのでは、根本的に何かが間違っているし、何か歯車が私の中で狂って行くであろう。また、彼ら3頭なくして「一般家庭で暮らせる普通のワンコ」として保護イヌ達を育てて行く事は困難でもある。エンデュミオンの保護当時の様に、彼ら3頭と同じ扱いをしているからこそ、私の保護活動があるのであり、彼らなくしては成り立たないのである。彼ら3頭と一緒くたに「ウチの子」として扱う事に意義があるのだから。

そう思うと、エンデュミオンをトライアルに出発させる決意が固まったのである。もちろん、エンデュミオンに適した環境と、適したご家族で無ければ、私はエンデュミオンを託す気にはならない。他の里親募集をしている子達も同じである。ここで一緒くたに過ごしている彼らであっても、各々の個性があるからこそ、彼らの適した環境は異なるのである。彼らに適した環境、そして彼らの保護経緯を十分に理解した上で、その都度対処をして行こうという意思が無くては、私は託せない。これは保護イヌであろうが、繁殖(出産)した仔犬であろうが同じだと考えている事。そう保護活動とは、「誰でもいいから貰ってくれ!!!」では無いからである。何故なら、彼らにも感情があり、個性があり、尊厳があるからだ。

思えば4年もの歳月を掛け、エンデュミオンはゆっくり、じっくり、私がこの結論に至るまで教え続けてくれたのかもしれない。懇切丁寧に・・・。手取り足取り・・・。そんなエンデュミオンの苦労をねぎらってやる事、そして今の私に出来る事、それがエンデュミオンに適した里親さんを見つける事だったのか?

やはりエンデュミオンも「アクアライン経由の幸福行き片道切符」を何処かに隠し持っていたのか?同じく山の中で保護したアカネさん同様に??

トライアルに出発したエンデュミオン。里親さん家族と、互いに癒し癒され、普通のワンコとして半生を平穏に過ごして貰いたい。。。これがこれからの未来の彼に願う私の思いであった。正に、エンデュミオンに適した家庭環境。今日のトライアル開始までの間に、2度に渡って面会に訪れて下さった、エンデュミオンを理解し受け入れるべく努力を惜しまない里親さん家族。何度も会っていた事により、新しい家でビクビクする事など全く無く、当たり前の顔をしてご家族に甘え、すり寄っていたエンデュミオン。キミには判っているんだね。ヒトの心の中が見えるんだもんね・・・(笑)。

私に呼ばれれば、私に寄って来て、コマンドを言われれば、新たな室内で設置した自分のバリケンネルに大人しく「ハウス」もする。かなり落ち着きが見られるその様子。やはり少々の戸惑いは見られるが、怯える面や極度の不安とは無縁のご様子(笑)。

私に呼ばれなければ里親さん家族に自らスリスリしている位だものね。がんばれ!エンデュミオン!あっぱれ!エンデュミオン!!!ドッグ・ホームのママは応援しているぞ!

キミはもう4年前のあの、怖がりで、臆病なビビリ犬・エンデュミオンじゃあないんだからね。ママはキミをトライアルに出発させて後悔していないよ。だって、キミは里親さん家族の中で笑顔だったもの。それに、キミが選んだのは正にキミにピッタリの素敵な家族だもんね♪4年前のキミも、今のキミも、ぜ~んぶをそのままに受け止めてくれる素敵な家族だものね!やっぱりキミは、利発な子だね!キミ達ワンコって、本当にスゴイ生き物なんだね。

ママはもっともっと勉強するね。キミに教えてもらった事を無駄にせず、忘れない様に、これからも、もっともっと頑張るよ!ありがとうね、エンデュミオン!キミは、アンブロシア・ドッグ・ホーム保護イヌNo,1だった、今ではとても保護イヌに見えない位に成長した、立派な立派なワンコなんだよ!努力の賜物なんだね。良く頑張ったね。堂々の卒園だよ。幸福行きの片道切符を隠し持ち、堂々とした晴れやかな門出、キミに相応しい卒園だったね!

< 後記 >

トライアルを卒園と呼んではおりますが、トライアル期間は1ヶ月間としてあります。生涯飼育、共に長い年月を暮らす事を検討する為の最終判断として、1ヶ月間のトライアルを用意しているという意味合いですが、実際には事前に良く検討をされた上で里親さん達も、彼ら里子を迎え入れており、トライアル後もそのまま存続して共に暮らして行こう!と決意をされてからこのドッグ・シェルターの里親さんとなられる決意をされる為、実質上、トライアルの日を私も卒園という風に呼んでおります。むろん、トライアルで存続を断念される事に関して、ペナルティは存在しませんし、引き取りの際に基本的に苦情を申し上げる事はありません。

それ程、里親さんを希望される方々が、事前に良く検討をして下さっているのだと、私にも良く伝わってくる程、とても皆さま熱心な為、むしろその情熱から私自身が教わる事が多いのも事実です(苦笑)。

そういう理由から、トライアルが開始された日を、私は当シェルターのアンブロシア・ドッグ・ホームの卒園と呼んでおります事をご了承下さいませ。

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