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2006年1月16日 (月)

☆保護イヌNo,,15=トイ・プードル♪男の子の入園

Img_7499 本日、午前中に南房総の最南端方面に向う。途中で今回のお話を私に持って来られた方をピック・アップし、二人でトイ・プードルの自宅を目指す。

おおよそ近所と思われる場所へ辿り着き、その御宅へ電話を入れると、

「そこで車を停めて待っていて下さい。迎えに出ます。黄色いジャンバーで、イヌを連れて行きますから。」と言われ、道路脇でハザードを出して待った。

しばらくすると、まだまだ足腰も達者な年配の男性が、自転車に乗って、白いトイ・プードルを引き連れて現れる。様子を見ていると、そのイヌは自転車の脇で、おじいちゃんの顔を見上げながら、上手に並走しているではないか。

自転車からおじいちゃんが降り立つ時も、自転車を押して歩く時も、いつもいつもそのイヌはおじいちゃんの動きをきちんと見て、常に横に付いていた。自分の行きたい方向に行くのでは無く、まるで寄り添う様におじいちゃんを見上げ、尾っぽをプリプリ振って、嬉しそうに楽しそうに歩くその姿。

「とても可愛がられていたんだ・・・・・・・・。」

その情景で、全ては明らかだった。年配のご夫婦がとても大切にしていた一人息子のトイ・プードル。事前の情報で、戸外飼育をされている事、トリミング・サロンに来る度に茶色くなっているという情報、そして土地柄という私の先入観が加わり、実はまたミニチュア・シュナウザーのプルシャ君の様に劣悪な環境で飼育され、挙句に放棄されるのか?と思い込んでいたのだが、どうやら事情は異なる様で、かなりほっとした瞬間でもあった。

今回、このご夫妻がこの子を飼育困難と決断したその理由。それは、老人ホームに夫婦揃って入所が決まったからである。

現在の日本にあるそうしたホームで、愛犬や愛猫を連れ立って入所できる所は、私設の所、いわゆる高額な入所金が必要な、毎月の生活費もお高い所。かつそれら全ての施設で許可が下りる訳ではない。また許可が下りたとしても、「飼主が亡くなった後にそのイヌやネコを引き取ってくれる者が居る事。」が条件になる。

トイ・プードルのこのご夫婦には、身寄りが無かった。もしも私にもう少し力があれば、ご夫婦はこの子を連れて入所する方法も検討できたのかもしれない。そして、何かあった際にアンブロシア・ドッグ・ホームでこの子を、その時に引き取る形を取れたのかもしれないのだ。まだ今の私には力及ばずなのか。なんとも口惜しい事である。

私は以前から、アンブロシア・ドッグ・ホームは、いつか、保護イヌのシェルターだけでなく、老犬のホームも兼ねたいと思っていた。欧米のシェルターの様に、獣医師がシェルターに在住するなら動物病院も併設したいと思っていた。しかし老犬ホームでは間違いなく生涯飼育をするという必要がある為、保護施設よりも更にプライベートで快適な環境とスペースが必要でもある為、たった一人の現状では『夢のまた夢』だと、未だに単なる空想物語でしかない企画なのだ(涙)。

今でも基本的には、一人で個人的にやっているドッグ・シェルターである。イヌを保護し、譲渡する事で、自らの利益と収入を得ている訳ではないから、ハタから見れば今の活動も単なる『趣味』である(苦笑)。私に残るもの、それは、彼らイヌ達から学び、知識と経験が増え、里親さん家族とのご縁と出逢い、そして最後に達成感が残る事だけである(反省も多いけれど、そこから知り、また改めて学ぶ事が出来る)。

そう『空想物語』のままだった、老犬ホーム。もし、ドッグ・シェルターがそういった事も全て含めて対処できる形態であったなら、この老齢のご夫妻と、トイ・プードル君はこんなにも早い別離をしなくて良かったはずである。。。

・・・しかし、今の私に出来る事。それは、この子を引き取り、責任を持って新たな家庭を探してやる事だけである。今度こそ生涯飼育のできる家庭。それでも万が一、次の家庭でも手放さなくてはならなくなったなら、このドッグ・ホームにこの子を帰らせて下さる家族である。

老齢のご夫妻は、この子を飼育していた場所へと私達を案内する。

家の裏手には、納屋があり、その入口の軒下に犬小屋はあった。日光もそこそこ当たり、風雨をしのげるコンクリート張りの場所。自家用車を所有していない、自転車1台を明るく「我が家のマイカーです。」と笑って言うご主人。そんなご主人が、この木製の犬小屋を自ら買いに行って運び、組み立てたのか?

中には厚い綿の布団が敷かれ、その上に綿毛布が被せてある。使用感はあるが、どちらも汚らしいものでは無く、日ごろから手入れしているものである。納屋には、この子を入れるキャリー・バックもある。今日の為に慌てて洗ってキレイにしたものでは無く、常日頃から清潔にしていたものだ。

食器もステンレス製で、この子に適しているサイズだ。まとめてあったこの子の荷物の中には、動物病院で処方されたフィラリア予防薬の余りが入っている。

「これがフィラリアの薬です。予防接種は去年の6月に接種しています。」

と、しっかりした口調で説明された。薬の袋を見ると、動物病院の連絡先がある。過去の疾病についての確認も取りやすい。

このご夫婦は、この子の為に、一生懸命に万全の準備をしていたのであろう。自らが思いつく限り、説明する事柄も考えていたご様子。

フードは、ビタ○ンさんのものを二種類配合して与えていたそうで、

「こちらをこの位で、この半生(ウエット・タイプ)をこの位です。あと、オヤツはコレが好きでして、これを一日2本です。」

実に一生懸命である。トイ・プードルを戸外で飼育するなんて・・・・!!!!!と事前に思っていたが、この年代の方々にしては、イヌは外で飼育するものだと思っていた割に、それでも寒かろうと布団を入れたり、防寒できる工夫をし、実に可愛がっていたのである。

そして極めつけだが、先の掛かり付け動物病院へは、ご主人が「マイカー(自転車)」にこの子を乗せて、およそ1時間もの道のりで行っていたのである。おまけに、グルーミング・サロン(トリミング・サロン)へも、また別の道のりで1時間自転車を漕いで通っていたのであった。

なるほど、フィラリア症の予防薬を1年分まとめて貰っていたのは、そういう事なのか・・・。

茶色くなるまでトリミングに行かなかったのでは無く、行くのが大変だけど、それでも頑張って遠い道のりをこの子の為に連れて行っていたのである。

目の前のトイ・プードルは、確かに若干薄汚れてはいる様子だが、目やにの跡はほとんど無い。目元を拭く手入れをしていないと、白い被毛の犬種の目の周りは、すぐに赤く染まってしまうものだが、この子の顔の毛色はそういった状態ではない。

付けているリボンは、お正月用のリボンだ。これはサロンで付けられたものだろう。

・・・という事は、この年代の方だからきっと、新年を迎えるに当たって、年末にサッパリさせてやろうと、あの遠い道のりを、年配には堪えるこの寒い時期に、自転車で連れて行ったのか・・・。

被毛の状態から逆算しても、トリミングから半月程度しか経過していない様子は明らかだ。飼主が手を入れたにしては出来が良すぎるし、足の裏にバリカンを自ら入れたとは思えない。そしてそれらはハサミで切った跡でも無い。

説明を全て承り、犬小屋と荷物を車に運び込む。ご主人は私にこの子のリードを手渡し、背を背けた。ご夫人の目は潤んでいる。

「どうか、この子を宜しくお願いします。

どうか・・・・・・・・・・・・・、

どうか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

最後にこの子のキャリーに、この子を入れる事をお願いすると、ご主人は背を向けたまま断った。

「この子の為に、お父さんが入れてあげて下さい。その方がこの子が落ち着きますから。私達が入れるより、安心しますから。」

そう頼むと、私達には顔を見せないまま、うつむいてキャリーにイヌを入れ、立ち上がって即座にそっぽを向くご主人から、鼻をすする様な音が聞こえてくる。

最後に私の名刺を静かに涙を流すご夫人にお渡しする。

「ご住所がはっきりしたら、宜しければお手紙をお送り頂けますか?この子の写真をお送りさせて頂きます。」

もし、手紙が来なくても、それはきっと自分達がいつまでもこの子に心を残して、面々としては皆に迷惑を掛ける・・・・・という、この年代の方特有の思考の末かもしれない。でも、もしも手紙を送って下さる事があるならば、私は喜んでこの子の写真を送って差し上げたいと思う。

飼育放棄をするヒト、飼育困難になるヒトからのイヌの引き取りの際に私は必ず、ビシッと一言を言い残している。それは、クドクド説教まがいに言う事ではない。また、「どうして飼った(買った)んですか???」と、今更、生産性の無い議論を交わす気もない。

「イヌが散歩で引っ張る時には、こういう子の場合には○○すればいいんですよ???」

「それは運動量が十分ではないからするイタズラですけど???」

「自分がどんなに疲れていても、時間が足らなくても、それならそれで○○の方法で欲求を満たしてあげればいいんですよ???」

「飼主が色々工夫する事、試行錯誤する事を辞めなければいいんですよ???」

と、相手から今までの状況や状態を聞きだし(ある意味誘導尋問?)、そして最後に何よりもキツ~イ一言を言い残す。

「何故、もっと御宅での環境を良く検討して、飼い方や躾けの仕方を考え、工夫しなかったのですか???????」

そう、言葉にはしないが、遠巻きに「だったら飼うな(買うな)!」と意味しているのである(苦笑)。飼育放棄や飼育困難である場合には、ほとんどのイヌは躾けがほとんどされていなかったり、コミュニケーション能力を失っている。最悪は、グレている状態だ。

野山に遺棄される場合には、より最悪の状態でもある。こちらは精神状態だけでなく、健康状態が極限である(極度の栄養失調など)場合が多い。

そんな保護イヌを日々見つめ、接しているのはかなり辛い事である。しかし、この子達が笑ったら、笑える様になったら、きっとカワイイぞ!そんな思いで接している日々である。

イヌは笑う。嬉しい時や、楽しい時には、こぼれんばかりの笑顔をしてみせる。そんな表情を取り戻させたい。それが楽しみでやっているのだ。しかし、この子が笑顔を取り戻すのは早いはずである。今まで大切にされ、愛されてきた事が明らかなイヌは、新たな家庭で慣れるのも早い。それはヒトとのコミュニケーション能力が発達しているからである。そう、自らがモノを考えるイヌであれば、新たな環境での順応性が良いという事。

話は少しそれたが、そんな訳で、私はこの老夫婦に得意の(?)キツ~~~イ一言を発する事はしなかったのである。

キャリーに入れられ、ドッグ・ホームの車に積み込まれたトイ・プードルは、異常を感じたらしく、鼻を鳴らし始めた。さめざめと涙を流し、声にならず見送る老齢のご夫婦と距離が開くほど、この子は少しずつキャンキャンと甲高い声を上げ、泣いた(鳴いた)。

「大丈夫よ。おじいちゃんとおばあちゃんを心配してるんでしょ?きっと、大丈夫。心配いらないよ。」

時々、声を掛けるが、自分の家からどんどん離れる程、哀しそうな鳴き声を辞めなかった。聞いている私達にも辛さが伝わる悲痛の鳴き声である。

途中で同行した方の家に立ち寄り、庭でイヌ達を休憩をさせる。同行した方とは、サラちゃん(ミニチュア・シュナウザー♀)の保護主さんの事だ。サラちゃんの最近の変化や健康状態を伺い、フードの相談を受けたり、彼らの写真を撮影し、サラちゃんと同居のワンコ達のトリミングを済ませた後、サクラちゃんのお見合いの為に安房犬猫の会の関係者宅へと案内をして頂いた。

全てを済ませ、ドッグ・ホームへと帰宅し、留守番をさせた子達5匹を含め総勢11匹のイヌ達と2匹のネコ達の世話を済ませた後、トイ・プードル君のグルーミングを開始する。既に時は深夜だが、この勢いで片付けたい所だ。

先ずお風呂に入れ、肛門腺を絞り、耳洗浄をする。シャンプーもサロン通いで慣れているのか、実に大人しい。洗い終わってから、グルーミング・テーブルに乗せるが、飛び降りようとはせず、始終シッポを振りながら私の顔を見ようとして、私の動く方向にテーブルの上で周るだけだ。

綿棒で耳の中を拭いても大人しく、業務用のドライヤーの音も聞き慣れている為全く動じない。仕上げのコーティング剤を付けて、再度ドライヤーで仕上げ、カットに入る。

バリカンで顔の周辺を刈るが、口の周りに差し掛かってもじっとしているこの子。ウルウルした瞳で私の顔を見つめている。「今日は変わったサロンに来ちゃった・・・。」と思っているのかな?それとも、全てを察しているのかな?

画像の通り、プードルのテディベアー・カット風でもあるこの姿。何か、ピンと来ないなぁ・・・。何処か半端なデザインの気がする(苦笑)。パジャマ・ダッジでもないし、ボレロ・ダッジでもないカット・・・。

う~~~む~~~~~~(悩)。

個人的な主観で言えば、テディベアー・カットは私のお好みではない。それに、パジャマもボレロも好みでは無かったりする。そう、「カワイイ~~~♪」と呼ばれるカットがお好みでは無いからだ(爆)。どちらかと言えば、カッコイイ方が好みなのである。

だが、しかし、ドッグ・ホームのルナちんや、アルキメデスみたいにポニーちゃんカット(←私のオリジナルです、ハイ)にする訳にも行かない。被毛の質感が異なるので、やってみたくても出来ないのだが・・・(笑)。

そんな訳で、足の裏、マズル周辺と、首周囲にバリカンを入れ、頭部の被毛をスッキリさせ、ボカシを入れてトリミング終了。最後に切った毛をブラッシングで落とし、抱っこする。

伺っていた通り、抱っこに慣れている子だ。大人しく抱かれ、じっと私を見つめる。潤んだ瞳で・・・。

「大丈夫。心配要らないよ。おじいちゃんとおばあちゃんに心配掛けない様に、幸せになろうね。きっとキミなら、すぐにでも、何処にでも行く事ができるよ。」

床に下ろし、少しだけミニシュナ3匹達と挨拶をさせる。他の子達とは、明日ゆっくり挨拶しようね。

この子の為に用意していたバリケンネルに、この子が使っていた綿毛布を敷いてやると、自ら入って寝てしまった。今日はビックリして疲れた事だろう。ゆっくりお休み・・・。

しばらく様子を伺っていたが、小さく鼻を鳴らしていたと思ったら、しばらく後には静かになり、他のイヌ達の寝息につられたのか、眠りに落ちた様子であった。。。

~ トイ・プードル君のトリミング前の画像は、こちらからご覧下さい~

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コメント

大事に育ててもらってたんですね。
きっと息子さんのように育ててたんでしょうね。
老人ホームですか。
悲しい選択だったんですね。
幸せにしてあげたいです。

投稿: よいショット! | 2006年1月21日 (土) 13:56

よいショット!さん、度々ありがとうございます♪

色々な事情で手放される保護イヌ達ですが、
大切にしていた上に、
無念の別離ですから、
私も自分の力不足が悔しいばかりです。

きっと良縁があるはず。
どんなワンコにも、
必ずご縁はあるはずだから!

遅いレスになったので、
もう一件の方にもご返答しますね♪

投稿: AMB MAM | 2006年1月22日 (日) 01:19

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