カニヘン・ダックス♀のその後
イヌやネコ達に恩をうる気ははなから無いが、そうした時にはどうしても「折角保護したのに・・・。」と、私達がどれ程愕然とするか?など、彼らは気にしていない。何故なら、彼らには、目の前で愕然とする私達の事よりも、離れ離れになってしまった「飼い主」「元の環境=家」の事が心に残っているからである。
私達からみれば、どれほど酷い飼い方をされていたとしても、どれほど殴られていたとしても、どれほどひもじい毎日だったとしても、どれほど寂しい日々を送っていたとしても、それでも彼らは、そんな飼い主の事を思い、再会できないと察した時には、特別疾患の無かった個体であっても、生きる気力を途端に失い、静かに、眠る様に、息を引き取ってしまう子が居る。
その反対に、環境が変わっても、飼い主が変わっても、状況の変化に容易に順応できる個体も居る。当初は怪訝そうにしていた個体も、時間の経過と共に順応できる個体も居る。こうした子達の場合には、保護されていても、それなりに順応を見せ、新たな家族の元へと出発できたり、保護される期間を長引かせるよりも、ドッグ・ホームでの滞在をすぐに忘れる程の仮の宿として、トライアル出発をした方が適した個体の子も居る。
里親会を頻発する様になったのには、頭数が増えた事もとうぜんあるが、実は、こうした個体に適したトライアル出発先との出逢いを発生させるチャンスを与える為である。
この様な考えからも、今回のカニヘン・ダックスちゃんについては、現状で迎えて下さる家族(環境)があれば、ドッグ・ホームの雑多な中で生活をさせるより、丁寧な管理ができる環境の元へ身柄を移してあげたいと願ってはいたが、それにしても現状のままでトライアル出発をさせるにはあまりにも状態が悪く、この子の為にも手術は終わった状態=容姿の変化が改善された後にしてやりたいと思った。。。
およそ2ヶ月前の、10月19日、カニヘン・ダックスちゃんを警察署からお預かりした時、実は、私は彼女の混沌とした意識に引きずられる様に、異常な程の眠気に襲われた。彼女が何かを私に訴えかけてくる。私がいつも慢性的に睡眠不足だから・・・という理由で片付く眠気では無かった。
当初の画像をご覧になった方は、すでにお気づきになられたかもしれないが、画像の到る所に、煙の様な、霧の様な、白っぽいものが写り込んでいる。何故だろう。。。
彼女の背丈に合わせて、デジカメ撮影には低めの三脚で撮影位置を固定し、手振れの起こりにくい状況で、彼女が動き回る際に撮影したが、どうしても手振れをしている様な画像ばかりになる。確かに彼女自身が動いたためにブレた画像になったものも多々あるが、それにしても私はここまで撮影がヘタだったっけ(確かにシロウトですが・・・・・それにしても・・・・・・・・・・・滝汗)?
彼女の物悲しさが、全身から伝わってくる。イヌには珍しい、当たり所のない、恨めしいという様な感情も伝わってくる。私を見る目は、冷めた目だった。
当日、画像撮影が済んだ後、動物病院へ向かおうとしたが、重力に負けるほどの「地へ引きずり込まれそうな感覚」と、極度の眠気が私を襲う。仕事帰り途中のぶんたさんに電話を入れ、病院までの道中の運転をお願いした程だ。1年ほど前の岩手県への日帰り寝不足ドライブでも「運転できない」などと泣き言を言った事のない私が、不覚である。しかし不覚だと自覚はあれど、それにも増して「眠い」の一言。
ぶんたさんの運転での動物病院への道中、助手席で私はひたすらカニヘン・ダックスちゃんに、ブツブツと語り続けた。
「大丈夫。病院で診てもらおうね。きっと、良くなるから。病院へ行ったら、身体が楽になるよ。大丈夫だから・・・・・・・・・・。」
病院で診察して頂いた帰路、不可思議な私の眠気と、身体を地へ引きずり込まれそうな感覚はようやく無くなった。
ドッグ・ホームの手術・処置室(手術イベント専用にしている部屋)に、先に保護されていた赤ちゃんネコ達と共に、ストーブの温もりで暖まり、温かい食事と寝床を得てから、カニヘン・ダックスちゃんからは、生きる気力が日に日に戻ってきた。
生きる気力が芽生えようやく私もひと心地・・・と思われたが、彼女の喉と鼻が詰まった咳とくしゃみ、器官が詰まっていて辛そうな呼吸音はなかなか容易に収まらなかった。
歯髄炎の影響により、喉・鼻・涙腺全てから、炎症を起して増殖し続ける「膿」が到るところに詰まっているのだから、根本の原因が収まらなくては解消されないのである。さぞ、辛かった事であろう。毎日世話をする私も見ていて辛かったが、手術以外にはどうにもしてやれない。
とにかく1日でも早く、体力を回復させてやろうと、日々手を尽くした。
ある獣医師さんへ泣き付いてみた所、 『有用微生物・OYK菌 Mipo』 というものの存在を教えて頂いた(詳しくは、←のリンク先でご覧下さい)。OYK菌とは、納豆菌の近縁種という事で、継続使用で副作用がないらしく、不要な菌の増殖が抑制されるという優れもの。
歯髄炎も、いわゆる歯周病・歯周病菌が事の発端なので、一か八か、身体への負担もないこのMipoをその獣医師さんよりご支援頂き、早速、カニヘン・ダックスちゃんの目元と口内に、日に何度も吹きかけて使用し続けた。
保護当初から、吐き気を誘うほどの、尋常ではない腐敗臭が漂っていたカニヘン・ダックスちゃんだったが、2~3日の使用で頬に開いてしまっていた穴周辺には、固まって詰まっていたはずの膿が、どんどん流れ落ちる。それが、冒頭のエリザベス・カラー装着の画像である。
腐敗臭はなかなか軽減しないが、スプレーを噴霧され嫌がっていた当犬はMipo使用数日後から、喜んで自らスプレーをされる様になった。
私の目に見えない、彼女自身には判る変化が現れているのだろう。
頻発し、眠れないほど続いていた咳が少しずつ減り、いつしか咳をする事はほとんど無くなった。
呼吸が辛そうな、ズコズコ・・・・・・・・という呼吸音も、痰のからんだ様な咳も、いつしかかなり軽減している。
保護から二度目の診察を受けた先月11月18日には、血液検査を行い、その結果、幸いフィラリア症ではない事は確認できたが、いまだ極度の貧血である事は判明。腎臓および肝臓の数値はほぼ正常。カニヘン・ダックスちゃんの身体は、改善されてきているのだ。
引き続き今日までの間、ダックスちゃんの体力回復を計画的に続けてきた。
エンデュミオン君の家族のお友達よりご支援頂いていたヒルズのa/d缶と、シェルティーのマイケル・ママさんよりご支援頂いていた流動食ほかをこの間ダックスちゃんに全て使い果たす勢いで、必須量よりも大目大目で与え続け、貧血解消をもくろんで、生の馬肉もトッピング。
私も良い意味で、躍起になった(笑)。これほど酷い状態になっていても生き抜いてきた彼女は、強い生命力を持っているハズだ。彼女がこの新たな環境で生きようとする様には、しかとそれが見てとれる。また、疾患を抱える身体の体力回復のサポートをするという実践を、学ぶ機会を得る事となった。疾患が特別無ければ、単なる栄養失調であるなら、さほどのタスクではないが、現状では手の付けられない疾患というタスクがあったからこそ、躍起になれたのである。
当ブログ記事で、このダックスちゃんの為にヒルズのa/d缶をお願いした所、早速、所沢市のKさま、支援者名不明の方がお二組(いずれもネット・ショップで手配して下さった方)、の皆様が各々24缶ずつをご支援下さり、手術直前には在庫が尽きると思われたa/d缶詰は(手術当日、動物病院で購入して帰ろうと思っていた矢先でした・・・・・・・謝謝)、お陰様で手術目前にも引き続き継続して与える事が可能となりました。本当にありがとうございます(深謝)。
手術前日、しっかりと食事を与え、お手伝いに来ていた中学生のボランティアの子達に、彼女のトイレ散歩をゆっくり行ってもらい、手術に備えました。
ダックス嬢の手術が長引けば長引くほど、ドッグ・ホームは長時間が無人となります。今回ばかりは、その辺りが予測不能な為、時折ドッグ・ホームの留守番を頼んでいる私の母を呼び、今回の留守も頼みました。来春13歳になる園長アンブロシアさんにとっても、長時間の場合にはやはり幼い頃から慣れ親しんでいる私の母が留守番で来てくれた方が、安堵感も大きい様なので、今はこうしてどうにか保護した子達の為に私自身が奔走する事ができています。
今回もこのお陰で、心置きなくダックスちゃんの手術の為、県外の動物病院へ遠征してくる事が出来ました。
病院ではまず、血液検査を行い、貧血状況を確認。前回よりも一段と改善し、まだ正常値の中でも少なめの数値ですが、手術可能な域まで達するほどの数値回復をみせました。
よって執刀して頂く事になり、午前中から長引いている先の手術が終わるのを待っていると、気付けば時は午後1時半。麻酔導入の後、手際よく剃毛。開腹は二箇所の予定である為、腹部には広範囲でバリカンが入れられる。
ダックスちゃんの体力を考慮し、麻酔時間をより短縮する為に今回の手術には、体重わずか3.8kgの小柄な彼女に対して、獣医師さんが3人がかりで執刀が開始された。
1名の獣医師さんは、彼女の口内担当。2名の獣医師さんで腹部を担当。
先の口内を担当している獣医師さんが口内を見た途端「残る歯が少ない可能性が非常に高いです。」とのコメント。あれだけの腐敗臭が漂っていたのだから、歯を残す事よりも、悪い歯は除去するしか方法は無い。当然の事である。歯茎も痛んでいるのだから、美的に改善しようと「差し歯」を行うとかという発想にはなりようもない。それより何より、不快感の元を除去する事が先決である。
その傍らで、下腹部より大きく垂れ下がっていた、鼠径ヘルニア局部の表皮に、メスを入れる先生。丁寧に切り開きつつ、脱腸しているその穴を探す。確認が取れた後、正位置での開腹を行い、先に子宮および卵巣摘出を行った。
腹部から取り出された子宮と卵巣は、何時だったか、見覚えのある様な、あまり状態の良ろしくないものである。子宮蓄膿症とか、そういう意味ではなく、出産回数が頻繁だったという事でもない。白っぽくてハリが無くて、触ると崩れそうな状態・・・。いわゆる、内臓にも高齢である事が見受けられた・・・という事だ。
取り出した子宮と卵巣からも、明らかに高齢である事が判明した。アンブロシア・ドッグ・ホーム「お達者クラブ」にまた1匹が加わった・・・という事か・・・・・・・(苦笑)。
手術の進行状況に余裕が出たのは、そのすぐ後だった。
子宮摘出の為に開腹した正位置より、腸を引っ張り出し始める。傷つけない様、やさしく丁寧に、ひたすらズルズルと引きずり出し、彼女自身の胸元にきれいに当人の腸がテンコ盛りになる頃には、ようやくヘルニア箇所から出ていた腸が引っ込んだのである。
腸が引っ込んだ局部は、私の指先が差し込めてしまいそうな穴があいている。脱腸していた量も、外観から見ていた通りの量だった。
彼女の腸を手際よく扱う作業を見つつ、彼女の引きずっていたあのヘルニアはニンゲンに値したら、大きさはどれ程大きなモノなのだろうか?と想像するが、検討も付かない。判るのは「さぞ邪魔だろう。」というお粗末な発想しか浮かばなかった。いや、実際には検討も付かないのだが。
3名の先生方が、巧みな連携で、手術を終わらせていく。ヘルニア箇所が塞がれ、表皮の縫合が終わる頃には、私は抜歯した歯の写真を撮影させて頂くほどの余裕が出ていたのである。
←これがまさに、ダックスちゃんから抜歯されたばかりの『歯』である。撮影する際に、マジマジと観察したが、歯根辺りの腐敗臭が鼻につき、2ヶ月前の、保護したばかりの彼女から漂い続けていた、あの腐敗臭を思い出す。
排泄物の悪臭や、生ゴミの腐敗した悪臭とも、全くもって別の種類の、とにかく傍に居るのが耐え難いほどの、吐き気が止まらない悪臭の根源は、全てコレである。
皆さんも、是非、そのニオイを想像して下さい。そのニオイと1週間でも共存しなくてはならない事を想像してみて下さい。
もし元の飼い主が、この子を遺棄・放棄していたのだと仮定したら、このニオイだけでも、十分にその理由だったと断言できる程の、隣に居る者には絶えられない程の悪臭であるという事を知って下さい。
実際に保護から彼女の世話をしてきた私自身、かなりの不快感を感じました。息を止め、呼吸を最低限にして彼女の世話をしていたのも確かです。うっかりすると、酷い吐き気で、私自身が食欲を失う程でした。
幸いにも、彼女の肝臓・腎臓の数値は正常値でしたから、私自身はアロマ・セラピーに頼る事もできました(腎臓の弱っているイヌの居る環境でアロマの使用は更なる危険を伴いますのでご注意下さい!)。
もし、あなたの傍にあなたのイヌ・ネコが居るのであれば、そして歯磨きを怠っているのであれば、ぜひ今からでも歯磨きを始めて下さい。私もスタッフさんも、一同、歯磨きを怠った時の恐ろしさを、彼女のお陰で目の当たりに学びました。
上記画像にある通り、全部で10本の歯を失ったダックスちゃん。この歯では、これまでも食物を「噛んで」食べる事は出来なかったでしょう。グラグラとぐら付く歯で、モノを噛む事は出来ません。丸呑みだったはずです。
幸いそれでも食欲を失わずに居られた彼女だから、これまで生き延びてきたのでしょう。こうした面からも、彼女の生命力の強さを感じます。
縫合が終わり、明日からホームで行う点滴の説明を受け、覚醒が見られ始めた頃には、バスタオルに包んでダックスちゃんの完全な覚醒を待ちました。
開腹から、縫合までおよそ2時間半ほどを要した手術。本当に、彼女は良く耐えました。これまでの苦痛と不快感のある身体に耐え続けた彼女ですから、この程度の手術には耐えられると私は信じていましたが、それにしても、大したものです。
先生の了解が出て、他に不妊手術で連れて行っていたイヌ・ネコを連れて病院を出たのは、夕方6時目前でした。
朝11時過ぎから、ざっと7時間も病院に滞在していた私。気付けば、朝、病院へ向かう運転中におにぎりを2個頬張って以来、飲まず食わず7時間経過していた事を知り、いっきにお腹が空いて来ます(笑)。
金谷港からフェリーで県外へ遠征しましたが、すでに最終フェリーには間に合わない時間となっており、結局、アクアライン回りで帰路へ付き、ホームに戻れたのは夜9時をまわっておりました。
朝8時過ぎに出発したので、およそ12時間の外出・・・・・・(滝汗)。戻って、ダックスちゃんをサークルに戻し、体温保持の為に毛布を追加(術後で麻酔から冷めた後は低体温になる)。
その後は、お決まりの、留守番していた組の世話。。。。。深夜私が寝る前に、再度、ダックスちゃんを確認すれど、辛そうな状態も全くみられず、良く眠っているといった具合。
ようやく、私も、安堵しました。
今後は、3日間、自宅で(ホームで)点滴を行い(術後の回復を助ける為と腎不全など予防の為)、術後のヘルニアの縫合箇所など、特に経過観察が必要との事。また、歯髄炎による頬に開いていた穴も1週間ほどで塞がっていくはずで、他に特に問題が無ければ2週間ほど後に、腹部2箇所を抜糸。
それまでの間は、抗生剤投薬という指示でした。
術後の回復にも、先に記しました皆様からご支援頂いているa/d缶詰めが必須でしたので、本当に助かります。日に日に、本来あるべき姿へと回復するまでの間、どうぞダックスちゃんを応援してあげて下さい(願)。
ある程度回復をした後に、里親募集をさせて頂く予定でおりますので、それまでの間、ダックスちゃんの里親に関するお問い合わせを頂きましてもご返答致しかねます事を、何卒、ご了承下さいませ。また、当然ではありますが、今週末の里親会にダックスちゃんはまだ連れて行ける段階ではありませんので、その旨ご理解お願い致します(願)。
<<12月11日今日現在で特に不足している物資>>
- ネコ用トイレ砂(香りのついていないペレット・タイプのもの)
- マナーベルト(マナーパンツ)(Mシュナのカント君使用中)
- イヌ用おもちゃ(特に布製のキュートーイ)(Mシュナ・カント君が日々破壊中)
- 食物アレルギー対応処方食(MIX犬の七海ちゃんなど)
- 高栄養食
- 流動食
- バザー用の支援物資(特に雑貨類が補充できると助かります) など
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